2007年2月27日の中国、上海株式市場における下落に端を発し世界中の株式市場が下落しました。同時にドル円、クロス円が大暴落(円高)、これは今までに異常に積みあがった円キャリートレードが一気に巻き戻されたことが背景にあります。以前から懸念されていたものが今回の株式相場の暴落で一気に加速しました。円キャリートレードがなぜここまで積みあがったかというと、主にヘッジファンドにとって円やスイスフランは豪ドル、NZドル、英ポンドなど高金利通貨での運用の資金調達通貨とみなされています。バブル崩壊後続いていた日本の超低金利政策と主要国の高い金利が背景にあり、円キャリートレードは世界の市場を動かすほどの規模に拡大しています。
今回の円高の要因のひとつとして考えられているのは日銀の金利アップです。近年の外国為替市場では今回の世界同時株安までは、円キャリートレードのために円安が進行していました。2月9日と10日G7会合が行われ、共同声明文で円安に対する言及はなかったもののドイツのシュタインブリュック財務相が円キャリートレードに触れていることからも伺えるように、今年に入ってからEU諸国から円安懸念を表明する声が高くなっていました。その後2月21日日銀が金融政策決定会合で政策金利を0.25%上げて0.5%に決定しました。
しかしいまだ日本の金利は他の主要国に比べ低い上にこの状態がしばらく続くと考えられており、円キャリートレード市場が再び盛んになることが予想されます。というのは今までにもこのようなケースが繰り返されているからです。今回に非常に似た事態が1998年にも起きています。1998年、数年間続いていた円キャリートレード市場が拡大した結果、円安が進行し各国(バブル崩壊の後遺症の残る日本は除く)株式市場は上昇していました。当時円で資金調達をし、ロシアで運用していた米ヘッジファンドがロシア危機により破綻、ほかのヘッジファンドが円キャリートレードの手仕舞いで資金返済のために一斉に円を買い戻したため一気に円高に進みました。今夏一時的に円キャリートレード市場が縮小しても上記で述べたとおり以前低金利が長期化すると予測される日本円はまたヘッジファンドの資金調達源とされるでしょう。